交通事故と保険と弁護士と

目次

1.交通事故での保険の対物超過特約とは?
2.交通事故の保険の『評価損』とは?
3.【事例研究1】タイヤで小石をはねて並走していた車にあたってしまったケース
4.【事例研究2】交通事故 同乗者がドアを開けたらバイクが接触したケース
5.警察車両と一般車両との交通事故における過失割合
6.【後遺症研究1】カウザルギー(CRPS/RSD)

1.交通事故 保険の対物超過特約とは?

 自動車任意保険の対物損害賠償補償では、交通事故を起こしてしまい相手の所有物を損壊してしまった際に発生する賠償責任を補償します。この対物損害賠償補償では、損壊のあった相手の持ち物に対し、市場価格つまり時価の範囲内で損害賠償責任を補償します。しかし、市場価格を超える損害の際にはその金額を相手から請求されてしまいます。自動車任意保険の対物損害賠償補償では市場価格を超える損害の際には市場価格を限度として支払われることになりますから、その差額については事故負担となります。
対物賠償
 自動車任意保険の交通事故における対物超過特約は、市場価格を超える損害の際に時価との差額が保険で補償されるという内容の特約です。例えば市場価格が50万円の車に損害を与えてしまい、修理費用が90万円であった場合は差額の40万円については対物損害賠償補償の適用を受けることができません。そこで対物超過特約を付加してあれば、市場価格を超える損害の際に自己負担で支払った40万円について超過損害補償の対象となります。対物超過特約の補償額は損保会社また自動車任意保険のブランにより異なりますが、50万円など限度を設定するタイプと市場価格を超える損害の際に無制限で時価との差額を補償してもらえるタイプから選べるのが一般的です。
損害保険
 対物超過特約はオプション契約になっているケースが多いので付加すると保険料が上乗せになりますが、もしも交通事故の加害者になってしまい、車種が古いなどの理由で市場価格が安い相手の車を損壊し修理費用の方が高くなってしまうケースに備えて付加しておくと安心です。

2.交通事故 保険の『評価損』とは?

 評価損というのは文字通り交通事故によって、資産の評価が下がってしまったものをさします。特に自動車の場合には、評価損が発生しやすいものであり修理をしても修理をした事実があるだけで車の価値というのは大きく落ちてしまうものであるだけに、修理代しか出ないのであれば実質的には損失を完全に補填されていないということになるのです。

 交通事故の際に評価損が認められるかどうかというのは、裁判でも認められるという結果のほうが大勢を占めているのですが、実際に保険会社が保険金を支払う場面では認めないというケースが少なくありません。もちろん、認めないという相手に対して裁判を起こして請求をすれば認められる可能性はありますが、そうでない場合には結局泣き寝入りをすることになってしまうことが多いのです。それでは、保険会社からも評価損の認められるケースとしてどのようなものがあるのかというと、ひとつは丁度その車を売ろうと検討していたというケースが挙げられます。売却をしようとしていてすでに見積もりを入手していて、その金額で売りに出すことを考えていた場合本来売れるはずであった金額にならなくなってしまったということで補償されることがあります。
補償
 これは売りに出そうとしていて実際に査定額が下がってしまっているわけですから、はっきりと損失が発生していることになります。そのため、このような場合では評価損が認められることが有り保険金を受け取ることができる場合もあるのです。

3.【事例研究1】タイヤで小石をはねて並走していた車にあたってしまったケース

 自動車での走行中にタイヤで小石を跳ね飛ばしてしまい、並走していた車に傷をつけてしまったという事例は少なくありません。ですがこういった場合の過失の責任はどうなるのかというと、基本的には無過失で賠償の責任も生じないと言って良いでしょう。もちろん明確に自分が運転する車が小石を飛ばしたと相手が証明できる場合、それは自分にも過失があったということで賠償責任が生じる可能性は無きにしも非ずです。しかしここでは二つの問題があります。
まず一つ目が「予期できる事態だった」ということです。
小石のある道
 公道はサーキットなどとは違って常に最良の状態が保たれているわけではありません。その公道を走行していれば小石が飛ぶことはあり得ますし、そうした中で並走することはそれだけで小石で車に傷がつくリスクを承知していたと考えられます。車に傷がつくことは予見できていたのですから、その予見がある状況で並走をした側にも非はあると考えるのが妥当です。加えて問題になるのが「小石をはねたことの立証が極めて難しい」ということです。

 常に全方向をカメラで撮影していたのであれば立証も不可能ではありませんが、おおよその状況において並走していた車が小石をはねて、それによって車体に傷が付いたなどのことは立証することができません。もし小石が飛んできたことが真実であったとしても、車についた傷がその石によるものだったかどうかというのが判断出来ないでしょう。こういった事情があるため、小石をはねて並走していた車に傷が付いたとしても過失の責任は生じないことが一般的と言えます。

4.【事例研究2】同乗者がドアを開けたらバイクが接触したケース

 交通事故というと、走行中に他の自動車や自転車・歩行者と衝突するケースを思い浮かべる人が多いです。その場合、誰が責任を負うかについては考えるまでもありません。当然のことながら、運転手が全ての責任を負うことになります。しかし、交通事故はこのようなケースに限られていないことに注意が必要です。たとえば、自動車を停止させている間に同乗者がドアを開け、走行中のバイクと接触してしまったというケースがあります。

 この場合の責任は、同乗者にあるのではないかと思ってしまう人もいますが、実は運転手が負わなければならないのです。運転手自身がバイクと接触したわけではないため、なんとなく理不尽だとも思われますが、同乗者の行動についても運転手がきちんと見ている必要があると考えられています。自動車を停止する際は、後方からバイクや歩行者などが接近していないか、よく確認しておくことが大切です。交通事故には、さまざまなケースが考えられます。自動車を運転する際は、どのような交通事故が起きても対応できるように注意しなければなりません。予測不可能な状況で交通事故になってしまうことも、決して珍しいことではないのです。同乗者の不注意というのも、運転手にとっては予測できないことが普通です。1つ1つの事例について、この場合の責任はだれにあるのだろうか、と考える習慣をつけておくと、判断しにくい事例に遭遇したときも安心できるようになります。

 過失割合によって賠償金は大きく変わります。警察の現場検証の際に、つい加害者の言い分に流されて、「本当は違うのにな・・・」等と思いながらもつい言い出せなかったりして加害者に有利な実況見分調書が取られてしまっていた場合などは非常に不利になることも考えられます。検察や裁判官も実況見分調書を比較的重視することがあるからです。もしも過失割合について不安要素がある場合は交通事故弁護士などの情報メディアを見て自分で調べてみると良いでしょう。

5.警察車両と一般車両との交通事故における過失割合

 車は便利な移動手段なので、男女関係なく幅広い世代の方が利用しています。ただ、便利な一方で、毎日どこかで事故が発生しています。一般車両同士だけでなく、警察車両等の緊急車両と衝突してしまうケースも発生しています。そこで問題となるのが、警察車両と一般車両との交通事故の過失割合になります。一般車両同士の過失割合については知っているが、警察車両との過失割合がどうなるかは、把握していない方が多いはずです。

 特に問題になる交差点に侵入するケースで考えてみます。警察車両は赤信号でも交差点に侵入することが許されていますが、サイレンを鳴らしているかで過失割合が全然異なります。警察車両がサイレンを鳴らして侵入した場合の過失割合は、一般車両が80の過失を負うことになります。警察車両も安全義務は生じるので、全く過失がないということはないみたいです。サイレンを鳴らさなかった場合は、パトカーだと外観で認識できる場合でも警察側にかなりの過失割合が生じてしまいます。

 そして、覆面パトカーがサイレンを鳴らさないで侵入してしまった場合は、警察側の過失が100となります。サイレンを鳴らさないと警察車両だと分からないので、一般車両が信号無視をしたのと同じになります。したがって、サイレンの有無が過失を決める上で重要なポイントだということになります。たまに自分のミスをごまかそうとする警察官がいるので、万が一に備えてドライブレコーダーを付けておくべきです。

6.【後遺症研究1】カウザルギー(CRPS/RSD)

 交通事故に出遭った直後に起こる骨折や捻挫などの症状のきっかけで、体の各所に疼痛が起こる事をカウザルギーと言います。骨折などの治療が終わっても神経が正常に機能しなかったり、むくみなどの後遺症が出る事によって疼痛が起こる場合が多いです。原因としては交通事故による衝撃によって自律神経が乱れて、自律神経の失調症などでカウザルギーになる人が増えています。

 近年は交通事故に出遭った後に神経を損傷した場合、整形外科などでCRPSと診断される傾向です。CRPSは主に衝撃によって神経が正常に機能しない状態が長く続く特性があるので、整形外科などで骨折や捻挫を治療しながら神経の治療を専門的に行っている病院での長期的な治療が必要になる場合が多いです。CRPSの症状は交通事故に出遭ってから1ヶ月以内で出る事が多いが、神経の損傷の具合や個人の体質によって症状が出る時期は異なります。細かな神経の損傷度は低くても、交通事故の時に骨折や筋肉の損傷を伴うと骨や筋肉が内臓に圧迫されるので、狭心症などの内臓に関する疾患に見舞われる可能性が高いです。

 ズキズキとした痛みを感じる事が基本で、内臓などに付いている神経の機能が乱れるなどの影響で長期間に渡って疼痛が続く事が特徴です。神経や四肢の機能などの回復の状況は個人差があるが、基本的には神経内科や整形外科などの病院に通院しながらCRPSの原因になっている疾患を長い期間治療していく事が望ましいです。